GIS Day in 関西 2002 に参加して<2002年8月27日>

会場:立命館大学 衣笠キャンパス (京都市北区等持院北町)

共催:人文地理学会・地理情報システム学会
後援:立命館大学・東京大学空間情報科学研究センター・ESRIジャパン(株)・(株)パスコ

テーマ:「GIS教育の広がり」

目的
地域社会へのGIS普及を念頭においた,GIS教育のあり方・今後の展開を模索する.教育機関(小中高校大学)はもちろん,自治体や地域コミュニティでのGIS活用推進に役立つ,利用者の出会いと交流の場したい.

@GIS教育セミナー
基調講演:マイケル・フェニックス(The Manager of International Higher Education, 米国ESRI.. Inc.)
       「米国におけるGIS教育(GIS Education Today)」

オーガナイザー:矢野桂司(立命館大学)
パネリスト: 秋元弘章(獨協大学経済学部)                碓井照子(奈良大学・地理情報システム学会会長)
        岡部篤行(東京大学空間情報科学研究センター長)   高橋昭子(東京大学空間情報科学研究センター)
        中谷友樹(立命館大学)

【GIS教育に関する提言】
・GISは教育(公民的資質の育成)に役立つことができるのか.普及のためには,カリキュラムの開発・目標の明確化・コーディネーターとサポーターが必要である.
・大学では「GISの教育」から「GISによる教育」へ.数学・プログラミング・コンピュータサイエンスの教育をどうするか.文理融合のテキストが必要なのか.
・前提知識を必要とせずにGISを実際に使いこなすにはどうすればいいのか.
・個人的ではなく,社会的技術として認知するのが必要.市民にも使えるGISをめざしてはどうか.
・GIS技術を資格として,技術者を大量育成して情報立国にしてはどうか.

総合討論の話題として以下の5点が挙げられた.
・GIS教育の妨げは何か
・GIS教育のバックグラウンドは何か
・GIS教育の新しい手法について
・GIS教育と資格について
・GIS教育と産・官・学の連携について

まとめ
結局のところ,「GISで何ができるのか」ではなく,「GISで何をしたいのか」がもっとも重要であろう.
米国では,GISの雇用機会も増加しており,他分野にわたっている.日本は,米国より少なくとも5年は遅れている.日本においても,GISの雇用機会が現在よりも増えない限り,GISは普及していかないであろう.

AArcGIS無料講習会
GISにはじめて触る人からGIS技術アップを目指す人までを対象に3つのコースに分かれた講習会

【各コースの概要】
GIS入門コース<GIS未経験者のためのArcGISの機能紹介と操作体験>
一般受講者向けにパワーポイントを用いたGISについての講義.GeographynetworkやArcVoyger(米国のGIS教材)の紹介と体験操作.

ArcGIS体験コース<ArcGIS未経験者のためのArcGISの機能紹介と操作体験>
ArcGIS概要(ArcGIS family の紹介),ArcMap・ArcCatalog・ArcToolboxの説明,空間データの表示,検索,編集,出力図作成

ArcGISフリーコース<ArcView3/ArcGISユーザのためのArcGISの新機能紹介と自由操作>
ArcView3からArcGISへの移行,ArcGISの新機能紹介と自由操作,ArcGISに関する技術的なQ&A

【参加したコースの実習内容】
ArcGIS体験コースに参加しました.実習内容は以下の通りです.
・ArcMap・ArcCatalog・ArcToolboxの機能説明と操作
・各主題図の作成と変換
・検索(属性検索・空間検索)と出力レイアウトの作成
ArcView3.xとおおむね同じでした.ソフト的にWordなどの馴染みやすくなった反面,構造的に分らなくても使えてしまうので専門の研究者には不向きのように感じた.単なるユーザーか企業あるいは教育などで使用するならすばらしいと思う.

簡単な感想
充実した,一日でした.最新のGIS技術の体験をすることもできたが,日本においてGISの中心となっている研究者たちが,今後GISをどのように普及させていくべきであるかを知ることができことが一番の収穫であると思う.地理学において発生したGISも十分な教育と普及がされなければ他の学問分野に吸収されてしまうだろう.いや,もうすでに吸収されかけているかもしれない.GISの場合,地理学以外も身に付けないと使いこなせない部分があるし,コンピュータを使うと地図をおろそかにしがちである.時代の流れというか,基本が分らなくてもある程度何でもできる世の中になりつつあるというか,そんな時代だからこそ一歩前に戻ってみるのもいいと思う.


関連サイト
地理情報システム学会
人文地理学会
東京大学空間情報科学研究センター
立命館大学  
立命館大学地理学教室
ESRI  
ESRIジャパン(株)
(株)パスコ
てくてくGIS
GeographyNetwork