【比高計測と傾斜・走向測定】

比高計測:
簡単な水準測量には,構造が簡単で取り扱いも便利なハンドレベルがある.構造的なことや使用方法については各参考書などに譲るとして,ここでは補足的に述べるとする.まず,ハンドレベルによる比高計測の考え方は,微積分の微分に近い.したがって,ハンドレベルを持つ人は背が小さいほど,またハンドレベルの長さは長いほど誤差が小さくなる.背が小さいということは,それだけ細かく分割していることになり,誤差も小さくなる.また,ハンドレベルは長いほうが上下のぶれが少なく,結果として誤差も小さくなる.また,計算方法については,斜面を上る場合と下る場合で微妙に異なるが,上る場合では,次のようになる.(比高:H)=(測定回数:n)×(ハンドレベルを持っている人の目までの高さ:Ha)−(最後の測定値:Hb).ここで,測定回数とは,最後のメジャーを使った測定も含む回数である.

傾斜・走向測定:
地層面や断層面などの走向・傾斜等を測定するのに,便利なのがクリノメーターである.これも同じく,構造的なことや使用方法については,各参考書等に譲るとする.補足として,クリノメーターによる結果は必ずしも正しいわけではなく,全体のおおまかな傾向を把握する程度のものである.詳しく知りたい場合には,きちんとした調査やクリノメーターを使用するのでも,相当細かく測定していかなくてはならない.これも,比高計測と同様に,精度を高くするためには出来るだけ細かく連続的に測定する必要がある.ちなみに,精度は低くなるがクリノメーターは角度つきハンドレベルとしても用いることが可能である.