汐留巡検<2002年6月17日>


テーマ:
「汐留地区の今昔と街づくり−鉄道発祥の地から自然と一体化する公園都市へ−」 新たな拠点「汐留」

コース:
ゆりかもめ新橋駅集合 → 電通新本社ビル見学 → 汐留再開発地区 → 汐留地区街づくり協議会事務所 → 浜松町解散



目的:
汐留地区は,古くから鉄道発祥の地として名を馳せてたが,今日,新たな都心として生まれ変わろうとしている.銀座・丸の内・霞ヶ関・などの主要市街地や臨海副都心に隣接する恵まれた立地条件に加えて,緑豊かな浜離宮恩賜庭園,東京ウォーターフロントの絶景を望むことのできる最高のロケーションを可能にしている.「かつてない発想から都市創造を実現してきたい」と汐留地区の街づくり協議会も豪語している.そこで,今回は電通の新本社ビルの見学も可能になったことから,汐留地区を歩くことで,過去と現在の変貌を知ることを目的とする.


開発の概要:
古くは湿地帯であったこの地区は,江戸時代の徳川家康による埋めたてをきっかけに,武家屋敷となる.長く武家屋敷であったが,大正から昭和にかけては貨物専門駅として全国に名を馳せる.ところが国鉄民営化に伴い,汐留駅は廃止される.その後,土地区画整理事業としてインフラ関係の整備されつつ,最近ではイタリア系デザインの建物もつくっている.



汐留地区街づくり協議会について:
1995年12月,自主的な街づくりについて意見交換したり,東京都や港区との連絡調整をする場として設立される.会員は,土地区画整理事業区域内の宅地の所有者と宅地の借地権者全員で,東京都と港区が特別会員となっている.土地区画整理事業の換地設計が決定し,具体的な街の将来像について考える時期に至った現在は,公共施設の整備時期や整備内容等,街づくりに関する事項について,「自然との共生」をテーマに活動している.


4つの目標:
プロジェクトに関して,4つの目標などが掲げられているの部分的に紹介する.
都市のグローバルスタンダードを目指す,新世代型24時間メディアシティ,職・遊・住の新クオリティ,自然と一体化する公園都市
都心最後の大プロジェクトとして「都市をリセットする」という.31ヘクタールの大規模開発地区「汐留」が5万人都市へと生まれ変わる.



巡検を終えて:
 まず,電通新本社ビルのハイテクさよりも,現在も残る古い建物などから,再開発に伴う周辺の問題(例えば,土地の売買や相続)を考えさせられる結果になった.再開発の中,1件だけ昔の家が建っていると目に見えて明らかである.一方,街づくり協議会で話を伺ったなかで印象的だったのは外国の方法を日本で初めて取り入れ点であった.外見は西洋風に仕立て,中身は現代の最新技術を備える建築物をはじめ,エリアごとにある程度のコンセプトを建築物の外見にあらわしているのが特徴である.そして,もっともインパクトがあり今後の課題となったのが,鉄道貨物ターミナルにおける再開発についてである.汐留地区のような,かつての鉄道貨物ターミナルを再開発しているのは東京周辺で他にもいくつかある.例えば,新小岩は総合運動場とマンション,飯田町(現在の飯田橋)は総合オフィスビル群と変化している.この2つ場所もこの数年ですっかりと変わってしまったのである.今後,これら貨物ターミナルの再開発について研究することは,我々地理学者に課せられた新たな問題であるといえよう.その一端を,目の当たりにすることができたことは大変有意義である.

左の写真)慶応義塾発祥の地.現在は幼稚園の一角にある.「福沢近藤両翁学塾跡」と書いてある.
中央の写真)町屋の跡地.昔の地図と現在とを比較しているところ.説明しているのは,案内者の石井先生.
右の写真)文明開化の光として,明治5年に設置,点燈された.これは,浜松町の第一京浜交差点付近にあるガス燈.

案内者:
石井實(写真家・地理学者)

関連サイト:
汐留シオサイト
(株)電通
東京都建設局による汐留土地区画整理事業
「世界都市・東京」を目指して進行中の大型プロジェクト〜汐留・秋葉原・六本木六丁目・六本木一丁目西〜
汐留市民フォーラム
ワイワイ・みなと
港区ホームページ
東京都公式ホームページ