大学院地理情報科学特論(2003年度;担当高阪教授)


■はじめに
日本大学大学院理工学研究科地理学専攻では,「地理情報科学特論」という講座を毎年開講しています.
今年度は,地理学専攻のみならず,心理学,応用数学を専攻している大学院生も受講しています.
このことからも,地理情報科学は現代社会に貢献しており,その将来性も注目されています.


■今年度の内容
地理学専攻以外の学生も数人受講しているということで,前期はGIS(おもにArcView GIS 3.2)についての概要と,どんなことができるのか,実際の作業を通じて,知識と技術を同時に習得することを目的として,展開してきました.具体的内容としては,ArcViewの基本操作に慣れるため,大学周辺の環境調査を実施しました.次に,ArcViewを用いた主題図の作成を目的として,国勢調査データから世田谷区の人口分布図(1)を作成しました.

(1)今回作成した階級区分地図(コロプレス地図)は,人口分布よりも人口密度を表現するのに適している.しかし,GIS分析には,面積按分で人口推定(例えば,商圏人口の推定)する方法もあり,一概になんともいえない.

◇前期のおもな成果

#日本大学文理学部周辺の環境調査
まず,大学周辺の景観写真を撮り,GIS上で地図と写真をリンクさせる作業をおこなった.これは,地図上で写真の撮影地点をクリックすることで,写真を表示させる機能である.実際には,観光地図などとして応用されている.また,写真を撮影する際に,GPSによって,位置情報の取得も同時におこなった.GPSで取得した位置情報を処理し,取得したポイントをArcView上で表示させれば,どの程度ずれているのかが分かる.その結果,今回は数十mの誤差であった.一方,ArcViewの地図上で今回は地図と写真をリンクさせたが,このほかに,テキストやグラフなどもリンクすることができるようになっている.したがって,ArcViewは応用性の高いデータベースといえよう.

#世田谷区における人口分布図の作成
(株)パスコでは,PFM2000という2000年の国勢調査データを有料で提供している.今回は,この中から,世田谷区の人口について,階級区分図により作成し,若干の考察を加えた.作成方法に関しては,関根・高阪(2000)を参考にするとよい.

  ・10歳未満(男女別)10歳代(男女別)20歳代(男女別)30歳代(男女別)40歳代(男女別)

  ・50歳代(男女別)60歳代(男女別)70歳以上(男女別) 

(若干の考察)
 ・20歳代においては,大学の所在地周辺に多く分布している.また,20歳代女性は,三軒茶屋,千歳烏山あたり多く分布しており,近くの女子大が影響していることが,はっきりと分かる.
 ・どの年代においても,鉄道沿線に人口が集中していることが読み取れる.
 ・場所によっては局地的な値が認められるところもある.高齢者では,老人ホームなどが影響している思われる.
 ・男女の差は,70歳以上で見られ,その他は認められなかった.日本の平均寿命は,女性のほうが長いことが反映されているといえる.

◇後期の予定
道路ネットワークと3次元を使用したGISで,各個人の研究に役立つことを行います.
成果はでき次第,アップいたします.ので,しばらくお待ちください.


■参考文献・資料
関根智子・高阪宏行,2000.ArcViewを使ったコロプレス地図の作成.,日本大学地理学会地理誌叢,41(1/2),65-77.
 


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